うらめしや

どうにもこうにも闇は闇で
出口が見えることもなければより深まることもない。
どこまで行っても闇、
待てど暮らせど闇。
このままあと1ヶ月過ごせば無事に研修期間満了で闇の番人になれると思う。



時に私、
かねてより記憶力は割りとよい方で、
新しいシステムやマニュアル、
どこに何があってここへ行くにはこれが最短で…といった町の仕組みなどは大概一発で記憶する。
そして、他人の顔と名前、さらには話し方の特徴・趣味趣向などは更なる精度でインプットしてしまう。
幸か不幸か、
現在では仕事柄、お客様のお名前・ご住所・家族構成・いつ頃何を購入されたかまでが頭に入っており、
脳内にてかなりの顧客DBが構築されている。
もちろん重要クレームなどの場合は顧客名が赤く点滅している。
(個人的に感情のあるお客様の場合、点滅はピンクである。)
これまで至って普通のこととして暮らしていたのだが、どうやら誰しも同じではないらしい。
私の場合は幼少時よりこのようであった為、今さら何をと思うのだが、
いつ自白剤を投与されるとも知れぬこのご時世、
「はい、私がやりました」という一言をきっかけにこの脳内DBを一斉にアウトプットしてしまうやもしれぬ。
となれば、最早私が存在すること自体が個人情報保護法に触れはしないか、内心ビクビクしながら暮らしている。
そんな私は一刻も早く転職すべきだと思うのだが、どうか。



ちなみに興味のない歴史年号や物理の公式などの暗記にはこの能力は発揮されたことはない。
今朝は自転車の鍵をどこに置いたか思い出せず、走って出勤している。
実生活においては全く役に立たない記憶力である。