斧を持った男はいなかった

先日お気に入りのRNAのTシャツ(ラメ入り)を着用し
最高のロックンロールで踊り狂った桃子は、
帰宅後、
朝陽を浴びて踊りつつそのTシャツ(仮にチェリーさんとする)を洗濯した。
(正確には洗濯機に入れて回した)
ところが空はどんどんどんよりし始め、
あの朝陽は一体何やってん、せっかく洗濯したのになーと
若干の不満を抱きながらも、
ま、降りはせんやろと表に干して出勤したのである。
夕方になり、桃子の期待虚しくついに雨が降り出したので、
一旦帰宅し、満足度85%ぐらいのチェリーさんを取り入れることにした。
ハンガーからチェリーさんを解放し、どさっと、
ひとまずセミダブルの物置であるベッドに
わさっと置き、
休憩して桃子は仕事に戻った。




以来、
どうにも部屋がキラキラしている。
まるでギャルの目元のようにキラキラ輝く銀粉がそこかしこに散らばり、
何ともこの部屋と部屋の主にそぐわない。
そればかりか目に付いて仕方がない。
挙句の果てには、
床に転がり寝ている桃子の身体に付着し、
その貧相なボディが叶姉妹級に虚しく輝くのである…




余りの悲しさに本日桃子は決心した。
その名も
キラキラ撤去作戦。



そう、ここでヤツの出番。
コロコロの出番が来たのだ。



と、
コロコロを探すも見当たらない。
はて、どこにしまったのか。
掃除機派の桃子にとってコロコロは洋服のホコリ取りの為にあるのだが
そんな桃子のコロコロが見当たらない。
もしや余りに出番がない故、拗ねて隠れているのか。
出勤前の貴重な時間をあてて探しているのに見つからない。
すでにこっちが拗ねたくなってきた桃子、
あーもうっ!とごろんと床に寝転がったところ、
目が合った。




―ベッドの下。


あら、
意外とベタなところに隠れるのね。
と、
手を突っ込み捕獲したのだが、


そこで発見したものがもうひとつ。




―ビールの空き缶2コ。






最低…





行ってきます。