鉄骨娘はスカスカ中


パイナップルをガブリとやった
…つもりが、
勢い余って3割増しでフォークをガブリと噛んだ。




今から遡ること20年、
小学校高学年になった桃子は高度成長期を迎えた。
朝:1リットル
給食:1、2リットル(6本)
夜:0.5リットル
計3リットル近くの牛乳を
連日連夜バカスカ飲み、野山を駆け回っていたこともあり、
大人になって知った骨密度はかなりのもので、
その密度たるや東京都23区の人口過密度ばりと自他ともに認める混み具合であった。
鉄骨飲料が再び発売されるのであれば、
ぜひともCM制作をディレクトしたいと思うほどの鉄骨娘・桃子だが、
半年程前、曲がったキーホルダーのリングを噛んで直そうとして
勢い余り、舌をも噛み切れそうな力で噛み外した結果、
前歯の表面の一部が欠けた。
正確には、剥がれた。
正面から見ても通常の前歯の形を留めており、
欠けたという感じでもなく、
痛みもなかったためにそのまま放置していた。
肝心のリングは元に戻らず、工具箱からペンチを取り出したのは秘密だ。




本日、その剥がれが拡大した。
パイナップルに突き刺したフォークのせいなのか、
はたまた勢い余る私のアゴの力が強すぎるのか、
忘れた頃に面積が倍になる我が前歯の剥がれ。
やはり表向きには前歯の形を留めており、
痛みもないのだが、
剥がれた部分が鋭利であるために
その剥がれ部分に擦れる唇や舌、口内に傷が絶えない。
現在、
パテ埋めの要領でアロンアルファで埋め、ヤスってやろうかと
鏡を見ながら真剣に検討している。




それが原因では全然ないのだけれど、
何かに寄り掛かりたくて仕方がない。
しかし、周りを見渡してみても闇。
いっそ溶け込んでしまえたら…
そう思うぐらいの闇。
静かで重くて息苦しい闇。




いっつもこんな日に限ってブッ飛んでるのよね、
あの人。



オイラのスカスカの心でもまだ笑えるんだぜ。





…やっぱ神じゃん?



テレずに「じゃん」を使用したいお年頃なんだぜ。






とあるところから「私の強み」という課題が出されており、
本日中に仕上げなければならないのだが、
何が強いのか、さっぱりわからなくなってしまった。
強いと思ってた歯、
少なくとも前歯が弱いのは十分思い知らされた。
強いのはもしやアゴの力…?