クリスマスと言えば

「世界の下着」といういかにも怪しげな名前の入りづらそうなお店があるのをご存知だろうか?
非実用的な下着やランジェリー、
コスプレ衣装にSMグッズ、
行為の手解き本から諸々のセクシーグッズ、
果ては媚薬と言われるものまでを販売し、
なかなかのいかがわしさを漂わせる店、
それが「世界の下着」である。



何を隠そう私はそこの常連である。
この店には外国製のタイツやらハイソックス、
レザーグローブなどが豊富に揃っており、
ヒマがあればひとりでふらりと立ち寄っては
流行の衣装をチェックしたり、最新のエロ事情を仕入れたりしている。
私がよく行く店には
必要なこと以外は全くしゃべらない男性スタッフと、
必要でなくても非常によくしゃべるおばちゃんがいる。
そのおばちゃんはなかなか自店の商品に精通しており、
最新グッズには誰よりも詳しく、
こちらが求めていようといまいと絶妙のタイミングで声をかけてくれる。
これはこうして使用するだとか、
これにはこのベビードールを合わせると素敵だとか、
より快感を得るためにはこれを使用してみたらよいだとか、
手解き本の内容にまで大変詳しいのであって、
おばちゃんの知識の深さにいつも感服してしまう。
おばちゃんのもうひとつの顔は
夜のお悩み相談所ではないかと思うぐらいである。
放送禁止用語もここでは標準語である。
そんな大胆なおばちゃんだが、
毎回私がチェックするタイツやグローブなどは
新商品を出してくれたりしてなかなか親切なのである。




そして
「今日はこれから?」
「身体が資本やから大事にしなさい」と
そっと飴をくれたりするのだが、
彼女は数年前、初めて会った時から私を風俗嬢だと思って疑わない。
せっかくなので、こちらも訂正はしないまま5年が経つ。



今年はまだクリスマスのふわふわかつスケスケの衣装を見に行っていない。
おばちゃんは元気にしているだろうか。


ふとクリスマスを意識したときに思い浮かんだのが
「世界の下着のおばちゃん」というこの現実。



強く生きていこうと思う。